入門ガイド · 5 分で読めます
Ren'Py のノベルゲームを Pominis にインポート
Ren'Py のゲームをブラウザで遊べる物語に。インポートで残るもの、「ゲームをインポート」画面の手順、変換できないものをまとめました。

Ren'Py でビジュアルノベルを完成させた人も、途中まで作った人も、作り直さずに Pominis へ持ち込めます。インポートはゲームのスクリプトと素材を読み取り、シーン、選択肢、変数、エンディング、画像、音楽を備えた普通の Pominis プロジェクトにします。ブラウザでそのまま遊べて、その後もエージェントと一緒に編集を続けられます。ただし移植されるのはスクリプトの動きであって、Ren'Py エンジンそのものを再現するわけではありません。アップロードする前に、その境目を知っておくと安心です。
この記事では架空の例を使います。Ren'Py で書かれた港町の短編『最終フェリー』です。プレイヤーが一晩泊まるか町を離れるかを決める選択が一つ、信頼度の変数が一つあり、ゲームの tl フォルダには日本語訳が入っています。
インポートで残るもの
- 台詞と地の文。話者名は Character 定義の表記をそのまま使います。
- menu は選択肢になります。条件を満たしたときだけ出る選択肢も、その条件ごと残ります。
- label、jump、call はシーン同士のつながりになります。長い label は複数のシーンに分かれ、chapter_1 や day2 のような名前の label は章になります。
- 変数と条件。$ による代入と if、elif、else は、物語の変数と条件付きのルートになります。
- エンディング。行き先のないシーンはエンディングになり、できる限り label から名前が付きます。
- 画像。各シーンの背景と、scene や show で表示した立ち絵が、元の配置どおりに一枚の画像へ合成されます。レイヤー画像(layeredimage)は一枚にまとめられます。
- キャラクター。立ち絵の一枚から顔アイコンを切り出し、あとで使える文章の設定を付けます。
- play music で流す音楽は、この物語専用の曲としてアップロードされます。
翻訳は特別に扱われます。game/tl に翻訳フォルダがある場合、Pominis で使っている表示言語と同じ翻訳があれば、それが使われます。日本語表示で『最終フェリー』をインポートすれば日本語版に、英語表示なら元のスクリプトのままになります。
label harbor_night:
scene bg harbor_dusk
show aoi worried at right
a "The last ferry leaves at nine."
menu:
"Stay the night":
$ trust += 1
jump inn
"Take the ferry" if ticket:
jump ferryPominis では、港の背景とアオイの立ち絵が一枚のシーン画像になり、彼女の台詞は会話に、menu は二つの選択肢になります。二つ目の選択肢には ticket の条件が残り、泊まるほうを選ぶと、後の判定のために trust が一つ上がります。
インポートの手順
- ゲームを一つの .zip にまとめます。配布版をダウンロードしたものでも、game フォルダに .rpy のソーススクリプトが入っていれば大丈夫です。zip の中の .rpa アーカイブは自動で展開されます。コンパイル済みの .rpyc しかないゲームはインポートできず、暗号化された zip も受け付けません。1ファイル 1.5 GB までです。
- インポート画面を開きます。ワークスペースのホームで「ほかの始め方」の「ゲームをインポート」を選ぶか、プロジェクト一覧の「ゲームをインポート」ボタンを押すか、入力欄に zip を添付します。VN Studio のチャットに添付しても開けます。その場合、ゲームは新しいプロジェクトとしてインポートされ、開いているプロジェクトは変更されません。
- 項目を入力します。「ストーリー名」は空欄ならゲームの元のタイトルを使います。「クレジット(任意)」には作者とライセンスを書きます(例:「作者 山田太郎、CC BY 4.0」)。この内容は第1章の説明に入ります。
- 権利を確認します。「この作品を改変・公開する権利があります(作者本人、または CC0・CC BY など改変を認めるライセンス)」にチェックを入れるまで、「インポート」は押せません。
- 進行状況を確認します。アップロード中、ゲームを展開中、シナリオを読み込み中、シーンを描画中、音楽を追加中、キャラクターを準備中、選択肢に名前を付けています、プロジェクトを保存中、と進みます。アップロードが終わるまではページを開いたままにしてください。その後は「バックグラウンドで続行」を選べば、完了したときプロジェクト一覧に表示されます。
インポートが終わると、プロジェクトが VN Studio で開きます。ほかのプロジェクトと同じ下書きなので、公開するまで誰にも見えません。アップロードしたアーカイブは、インポートの処理が終わると削除されます。
先に知っておきたい制限
- インポートは1アカウントにつき同時に一つまでです。実行中のものがあれば、終わってから次を始めてください。
- 30分を超えたインポートは停止されます。非常に大きなゲームは分割が必要になることがあります。
- 効果音、ボイス、動画は引き継がれません。残るのは音楽だけです。
- トランジション、ポーズ、アニメーションは省かれます。立ち絵の位置は読み取りますが、動きは再現しません。
- 独自の screen やミニゲームは動きません。screen のボタンやホットスポットが label へジャンプする場合は選択肢になり、ボタンの文字、画像だけのボタンなら短い行動名が自動で付きます。
- 単純な変数の代入と条件判定を超える Python、persistent のデータ、エンジンを直接呼ぶ処理はスキップされます。
- NVL モードの全画面テキストのレイアウトは再現されず、キャラクター名の色も残りません。
インポートは、何をスキップしたかの一覧を表示しません。最初から遊んで元のゲームと見比べてください。特にミニゲーム、独自メニュー、タイミングや音に頼っていた場面は要確認です。
エージェントと一緒に仕上げる
Pominis に入った物語は普通のプロジェクトなので、エージェントが編集、翻訳、続きの執筆をできます。移植で持ってこられなかった部分を頼みましょう。「嵐の場面が無音になったので、静かな雨の曲を付けて」「宿の場面を書き直して、アオイが町を出る理由を話すようにして」「物語を中国語に翻訳して」「フェリーのエンディングから続く第2章を書いて」。エージェントによる新しい画像、動画、文章は通常どおりクレジットを使いますが、移植そのものはゲームの元の画像を使い、新しい絵は生成しません。
手で直したほうが早いこともあります。「シーン詳細」でシーンを開けば、台詞一行や選択肢の行き先を変えられます。元のゲームがシーンの途中で立ち絵の表情を変えていた場合は、合成された画像が台詞と合っているかを確かめ、公開前にすべてのルートを遊んでください。
改変してよい作品だけをインポートする
権利の確認は形式的なものではありません。インポートするのは自分のゲームか、ライセンスが改変を明確に認めているゲームだけにして、「クレジット」欄で作者とライセンスを物語と一緒に残してください。ダウンロードした商用ゲームは、うまくインポートできたからといって公開してよいものにはなりません。


